サカイ引越センターの実際の作業例

と言っても、恵は引きこもり犬・アンと1室にこもっていたので詳しいことは分からない。が、それでも書いておきたいと思ったのは、「引越し業者の口コミは当てにならない」で書いた「悪評」に当てはまるようなことは一切なかったからである。(この「書いた」というのは「このような口コミがあった」と書いたということであり、恵の意見という意味ではない)

 

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唯一、人によっては「難点」と捉えられるかもしれないことは、早く来過ぎたことぐらいだろうか。

予定では午後2時から4時の間に開始ということになっていたが、新居でアンと待つ恵の所に嫁から連絡が入ったのは1時前だった。

「もう来てくれてて、物凄い勢いでどんどん運び出してる」

非常に驚いたような声でそういう嫁の電話を受けてから1時間余り経った頃、今度は「今から行く」という連絡を受けた。

元のマンションから新居へは車で10分ぐらいの距離なのだが、「少し早めに連絡してくれ」という恵に嫁が従ったためか、玄関前に停まるトラックのエンジン音が聞こえてきたのは、それから20分ぐらい経った頃だった。

ここからが勝負、と恵は身構えた。なぜなら、「引きこもり犬 無事、引っ越し完了」で書いたように、前日アンが非常に怖い目をしていたからだ。2日続きで心拍が上がり続けると心配である。

恵は浜田省吾The Birthdayの曲をガンガンにかけて、できるだけ作業音が聞こえないようにした。

だが、それは杞憂に終わった。先のページでも書いたが、作業中、アンはそれほど怖がってはいなかった。前日の怖さとのコントラストが一番の理由だろうが、もう1つは、思っていたより作業音が静かだったからだと思う。

 

おまえ、珍しいなあ、、、
いつもは見慣れん家具は全部怖がるのに。。。
前の住人が置いて行ってくれたソファーではくつろぐのね。。。

 

大きな声で指示を出すようなことは一度もなく、玄関前で会話している声が時々聞こえる程度で、後はひたすら階段を駆け上る音がするだけである。間取り的に、ほとんどの荷物が2階だったからである。

けど、あの荷物持って、よう、あれだけ走り続けられるなあ。。。

書籍が多く、それを詰めた段ボールの重さは25kgぐらいだと言われている。それを持って階段を駆け上がり続ける体力って、、、彼らはスーパーマンか?

「向こうの家の時から、ずっとあんな感じ」

アンと恵がこもっている部屋に入って来た息子がそう言った。ということは、前の家で1時間半ほどそれを続けた後、10分間のインターバルだけで、また同じぐらいの時間走り続けるつもりなのか?

「3人来てはって、みんな細い人なんやけど」

息子が言葉を継いだ。

そらそうだろう、瞬発筋の持ち主だと数分でグロッキーとなる。今の恵などはとてもできないことだった。

そして、その階段を駆け上る音は、作業が終わるまで続いたのである。

 

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トラックは2台来ていたが、載り切らなかった荷物を積むために1台は元のマンションに戻ることとなり、嫁はそれに同伴しなければならず、それ以降は都合上、恵が何度か部屋を出ることとなった。

ただ、アンは作業中、扉の近くまで行って物音を聞いていたぐらいで安定しているし息子もいる。それほど心配することはないようだった。

リーダーらしき1人だけが残って養生を剥がす作業をしていた。積み残した荷物は自転車や廃棄物など全て外に置くものだったので、もう必要ないからだ。

ジャニーズWESTの桐山君にそっくりな顔と声と笑顔のその20代らしき作業員は、慣れた手つきで非常に手際よく養生を外していく。

しばらくしてトラックは戻ってきたが、嫁は戻らなかった。どうやら前の家を掃除しているらしい。そのため全ての作業が終わった時、恵が代わりに対応することになった。

桐山君がアンケート用紙を持ち、恵に質問する。ほとんど部屋にこもっていた恵には分らない部分もあった。が、物音だけでもその作業の様子は十分推察できた。ほとんど階段を駆け上る音しか聞こえなかったからだ。

恵はアンと共に1階の部屋にこもっていた。その上は息子の部屋である。息子の部屋にはベッドなど大型の家具も運び込んでいる。が、一度もドシンというアンが怖がるような大きな物音はしなかったのだ。

作業中、ほとんどずっと階段を駆け上る音が聞こえていたので、3人が交互にずっと走り続けていたのだと思う。が、段ボールなどを下す時に聞こえそうなドスンという音はほとんど響かなかった。

つまり、彼らは全く休まず、急げるところは急ぎながらも丁寧に荷物を扱っていたということだろうと思った。

だから恵は見ていないにもかかわらず、「作業員がだらだらしていませんでしたか?」という質問には「とんでもない」と答え、「ご満足いただけましたか?」と言う質問には「大満足です。ありがとうございました」と答えた。

その後、「10分間サービス」について尋ねられた。サカイには作業終了後に10分間頼みを聞いてくれるサービスがある。たとえばタンスの移動や玄関前の清掃などを頼むわけだが、それに関しては既に嫁と決めてあった。

前住者が置いていってくれたスチールラック2つを外に出してもらうことだった。非常に綺麗な170cmぐらいあるラックで、何か使い道があるかもと残しておいてもらったのだが、やはり必要がなく、邪魔になるので廃棄することにしたからだ。

だが、それらは既に庭に出してあった。恐らく嫁が10分間サービスでそれをやってくれと頼んでいたため、荷物を持って上がったついでに下してしまっていたのだと思う。

そのことで既に10分間サービスは終わっているはずなのだが、彼らはそれほど時間がかからなかったためか、もう一度訊いてくれたのである。

誰だ? 10分間サービスを嫌がるなどと書き込んでいたのは?

恵はもうサービスを受けた旨を伝えた。

帰り際、恵が「皆さん、スゴイ体力ですね」と言うと、桐山君は「前に一件終えていて、これからまたもう一件あるんです」と笑顔で答えた。後の2人も同じように微笑んでいる。誰1人、ダルそうにしている者はいなかった。



恵が分かる範囲はそれほど広くなく、また作業員の当たり外れもあるのかもしれないとは思うが、あくまで恵の判定ではサカイは営業も作業も二重丸である。

引越し業者の口コミは当てにならない」で書いた覆面座談会でもサカイが一番好評だったが、恵もそれに賛同する。非常に気持ちよく引越することができたし、予想以上に作業が静かだったことはアンにとっても近所のことを考えても非常にありがたかった。

また、冒頭で書いた唯一の難点、早く来過ぎたということについてもリカバリーできていた。

彼らが到着した時、嫁はまだ荷物を全て積め終わってはいなかった。こまごました物や電灯など残っているものがいくらかあったのだ。が、それらは彼らが持参した段ボールに彼ら自身の手で箱詰めされて新居に運び込まれていた。

恵は後に、荷ほどきしていていくつも見知らぬ段ボールがあることに気付いた。中を見ると、ちゃんと種類分けされていて、壊れそうなものにはそれなりの工夫も凝らしてあった。

だから、早く来すぎたということに関しても、我が家にとっては難点ではなく、夜遅くまで作業が続くかも、という不安を払拭してくれて、逆にありがたかったぐらいである。

 

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これだけ褒めてばかりいると「サカイから幾らかもらっているの?」と思われそうだが、実際にはどれだけサカイを宣伝しても恵には一銭も入らない。

ただ、うれしいのだ。20代らしき若者たちがプロフェッショナルな仕事をしてくれることが。反対に、ダラダラと嫌そうに何かをしている姿を見ると悲しくなる。

余談だが、恵は大学時代、女子高の図書館移設のアルバイトをしたことがある。日通が仕切って大勢の日雇いバイトで旧校舎から新校舎へ書籍や棚を移動させたのだが、まず何十人もいるアルバイトの約半数は2日間でクビになった。

クビというより、半数が「継続」というのが本当なのだが、多くの者が非常にダルそうに作業していた。そして、その度合いがひどい者はクビを切られた。実は、恵と一緒に参加した友人も2日間で切られたのだ。

恵はダラダラすると余計にしんどくなるタチなので快活に作業していたが、友人は「そんなに張り切るなよ。どれだけ頑張っても給料は同じ」といって、手を抜こうとしていた。

そのため棚運びなど、2人がかりの作業では一緒にできなくなった。彼だけでなく、恵のペースで作業しようと思う者はほとんどいなかった。恵はどちらかというと早くやって早く上がりたいと思うのだが、大勢でやる場合、手を抜いたほうが得、と考える者も少なくないようだった。

ただ、40人ほどいる中でたった1人だけ、恵に賛同して途中からずっと付き合って頑張ってくれる子がいた。その子は要領は悪いし力もなかったが、全て恵のペースに合わせようとしてくれた。

しかし、作業最終日、恵はその子と一緒に作業できなかった。取り仕切っていた日通の職員に呼び止められ、恵だけ皆と別行動となったからである。

その日1日、恵はその職員に連れ回され、養生の貼り剥がしや、棚の位置決めの目印テープ貼りなどをさせられた。力仕事はほとんどなかったので楽だったが、ずっとその職員と2人きりであることに違和感があった。何より、その職員が自分でできるような程度のことを、わざわざ恵に教えてやらせていることが不思議だった。

が、その理由は夕方、全ての作業を終えた時に分かった。

「引越しのバイトする気ない?」と訊かれたからである。その職員が言うには、引っ越しの仕事は相当やる気がないと続かない。だから、今回のような大勢での作業の時、できそうな人間を見つけては声を掛けているのだという。つまり、最終日に連れ回されていたのは、その最終テストだったわけである。

恵はこれ以外でも、高校一年の時、食品製造工場での大人数での短期バイトの時も、ただ1人だけ長期バイトとして来てほしいと言われたことがある。

こんなことばかり言っていると、自慢したいのだと思われるだろうが、そうではない。

言いたいことは、誰でもそうだろうが、「自分と同じタイプの者を見ると嬉しくなる」ということである。つまり、サカイの若者たちを見ていて嬉しくなったのは、かつての自分が同タイプだったからであり、だから、今回の「べた褒め」に繋がったということである。

けど、それやと、自分が手を抜くタイプの人は、手を抜く作業員の方が嬉しいのか?

その辺は分からないが、とにかく、恵がいつも「プロフェッショナル」を好む理由を少し説明したかっただけのことなのだ。

まあ、それはおいといて。

とにかく、サカイの引越しには大満足だった。後で調べてみても、壁などに傷1つなく、壊れた物や傷付いた物も1つもなかった。

以前、書いた通り、引っ越し業者に対する書き込みにはかなりひどいものも多く、不安になっている方も多いかと思う。が、少なくとも恵は3度の業者使用でそんな経験をしたことは1度もない。

使ったことのある業者はベスト引越サービス・アリさんマークの引越社、そして、今回のサカイ引越センターである。他が悪いということではないが、中でもサカイはお勧めである。理由は上記の通りである。

先ほども書いたが、当たり外れに関しては責任を持てない。ただ、覆面座談会の意見と恵の経験から推測すると、サカイの社員登用と社員教育には、それなりに信頼を置けるのではないかと思うのだ。

そういう点では、日通の考え方にも経験的に信頼感はあるが、それはもう何十年も前の話で、今の日通に関しては全く分からないので意見を述べないでおきたいと思う。

これらが、これから引越しを考えている方の少しでも参考になれば嬉しいが、あくまで参考として、自分で判断してほしいと思う。そして、納得いく形で依頼し、是非とも気持ちよく引越を終えて頂きたいと願っている。

 

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