セーフティーのないベンチプレス台で潰れた時の脱出方法

えっ、潰れるって何、父ちゃん? 恐い話?

 

前回「【ベンチプレス】セーフティーの使い方から肩甲骨寄せや傾きの修正まで」で書いた通り、ベンチプレスをする際は、できる限りセーフティーラックを使ってもらいたいと思う。下手をすると死ぬことさえあるからだ。

自宅ならパワーラックを使うかセーフティーラックを買うかすれば良いのだが、通っているジムのベンチ台にセーフティーが付いていない場合で、なかなか補助も頼めないという場合は困ると思う。

そういう場合でもパワーラックがある場合は、ベンチ台は使わず、パワーラックでベンチプレスをすれば安全である。

だが、パワーラックが空いていない時や、パワーラックではないスクワットラックが置いてあるジムで、ベンチプレスに流用できない機種の場合は無理なので、やはりトレーナーや他のトレーニーに補助をお願いしてもらいたいと思うが、「最悪を想定して」一応、独りでセーフティーがない場合の脱出方法を書いておきたいと思う。

実は、恵自身、セーフティーなし補助なしで長い間トレーニングしていたからだ。

 

スポンサーリンク

 

恵は大昔、ベンチプレス台とバーベルを買って家でウエイトトレーニングを始めた。ダンベルまで付いているセットを購入したのだが、セーフティーラックは付いていなかった。昔はあまりそういうことを気にする人は少なかったのかもしれない。

つまり、自宅で独りベンチプレスだけをしていたので、補助もいないため初めから自力で脱出を繰り返していた。方法はバーベルにちゃんとカラー(プレート止め)を付けておいて、挙がらなくなって胸に落としたら、左右どちらかに滑らせてバーの先を床に付け、テコの応用で抜け出すのである。

だが、これもその時は70kgまでしかバーベルがなかったからできた方法で、100kgを超えるとこの方法では抜け出しにくいし、結構しんどい。圧力がかかって胸の上をうまくバーが滑らないのだ。また、良いバーベルほどローレット(ギザギザ)の関係で滑りにくい。

後に100kg以上のセットを買い直した時は、セーフティーラックも同時に購入したので問題なかったのだが、引っ越しに伴い、そのトレーニングセットをダンベルだけを残して全て捨ててしまったために、7年のブランク後、今のジムに通い始めた。

で、そのジムのベンチにはセーフティーラックがなかったのだ。通い始めて随分経ってからセーフティー付きに変わったが。




恵は元々長い間独りでウエイトトレーニングをしていたためか、他の人とトレーニングをするのがあまり好きではない。また、恵が通っている時間帯には一緒にトレーニングできる人や補助をお願いできる人も少ない。

トレーナーを呼べば良いだけなのだが、インターバルの間中、会話しなければならないのが嫌だし、第一ずっと付いて待ってもらうのが申し訳なく感じる。

また、恵は自分のペースでやりたいのだが、中には、「インターバルは短い方が効果的なので、さあ、始めましょう!」などと言い出すトレーナーも多く、そんなことを言われるとジムに行きたくなくなるのだ。その日の体調やひらめきでトレーニングのポイントを変えることができなくなるのが嫌なのだ。

少し不遜な言い方に聞こえるかもしれないが、恵は身体の多くの関節に故障を抱えているため、かなり研究して得た自分に合った必要なやり方というものがある。が、トレーナーによってはトレーニング経験が1年にも満たないベーシックな知識しか持たない素人同然の人もいて、そのベーシックな知識を押し付けてきたりするのだ。

そのたびに、いちいち故障個所の説明などをするのは面倒だし、また、それを説明すると、今度は「では、なぜそのトレーニングが効果的なのか」まで説明させられるはめになり、どちらがトレーナーか分からなくなるのである。

だからいつも「寄ってくるな」という雰囲気を作っていて、「補助要りませんか?」と訊かれたら「ああ、要りません。ありがとうございます」と即答していた。




今はセーフティーバーのある器具なので潰れても問題ないし、以前、セーフティーもなかった時代でも補助を付けずにトレーニングしていて、ベンチプレスで100kg以上で潰れても自力で抜け出していた。

これはさっきの横にずらす方法より簡単で、コツさえつかめば誰にでもできると思うから、念のために軽い重量から練習しておくのも良いと思う。

ベンチプレスで潰れて一度しっかり胸に下ろしてしまうと、身体の上を転がすか左右どちらかに落とすことになるので大変だが、「もう挙がらない」となった時、恐らく数センチは胸から挙がっていると思うので、胸に落とした反動を使い、バウンドさせて足側にバーベルを押すと同時に上体を起こすのである。

重量によっては太腿の辺りまでは押せないかもしれないが、押したバーベルの着地点が下腹部の辺りであれば、押したバーベルに引っ張られる形で上体も起きているので、そのまま上体をベンチと垂直にまで持ってくればバーベルはベンチに落とせる。

恵はセーフティーのなかった時代でも毎セット全力でトレーニングしていたので、頻繁にこれを繰り返していた。ギリギリ挙げ切った時以外は常にこれをする必要があったので。

そして、プレートも減らさず、そのままバーベルをバーラックにハイクリーンの要領で挙げていた。それをいつも見ていた当時のトレーナーの方々は手伝う必要を感じず、恵を放置しておいてくれるようになったのだ。

 

スポンサーリンク

 

もう1つの方法として、プレートカラーを付けないでおいて、左右どちらかに傾けてそちら側のプレートを落とすというものがある。そうすれば軽くなった側と反対側にバーが跳ね上がって抜け出せるからだ。

が、結局この方法を実際に使ったことはない。なぜなら、片側のプレートがバーから抜けると、恐らくバーは勢いよく跳ね上がり、もう片方のプレートも抜けるだろうが、その時抜けたプレートが近くでトレーニングしている人に当たるかもしれないからだ。

基本的には、バウンド抜け出しでいつも脱出できた。が、時々ダメな時があった。その理由は当時使っていたトレーニングベルトの形状にあった。

高重量であまり胸から高く挙げられないで潰れた場合、あまりバウンドせず、腰の辺りまでバーを押せないことがあった。それでも何とかベルトのバックルの上まで押せれば、上体を起こすとバックルを滑ってバーはストンと落ちてくれるので問題はない。

だが、時々バックル上まで飛ばず、バックルの上端と腹の間にバーが落下することがあった。そして重さでその間に食い込むのである。


こういう感じのやつ。

こうなると当時使っていた腰回りだけが広く、バックル近くの革は細い形状のベルトの場合、腹側の革に柔軟性があるためバックルにバーが引っ掛かってそれ以上押せないのだ。革が薄めなのも関係していると思う。

反動を使ってもなかなか外せず、引っくり返った亀のようになってしまうわけだが、重さでバックル裏に食い込んでいるバーベルをその姿勢で持ち上げることもできないから押すのだが、腹とベルトの間に隙間ができるだけでなかなか外れない。近くでそれを見ている人がいる場合は飛んできてくれた。

そのうち、人が飛んで来るのが嫌で、引っ掛かっても勢いよく前に押して外すようになったが、何度もそれをしているうちにだんだんベルトがちぎれ始めた。

「そんなばかな。あんなゴツイ革が」と思うかもしれないが、本当のことである。当時付けていたのはゴールドジムの物だが、何度もそれをしているうちに最終的に切れてしまったのである。100kg以上のバーベルを引っかけて押しているので、破壊力は結構すごいのだろう。

それで今の全体が同じ太さのベルトを購入した。


こんな感じの物。

これの場合はベルト手前までしかバーベルを押せなくても、バーが腹とバックルの間に食い込むということはなかった。全体が同じ太さで革も厚いため、100kg以上のバーベルが乗ってもグニャリとはならなかったのだ。

ただ、その分かなり胸に近い部分にバーがある状態で上体を起こす必要があり、それには少し苦労したが、何とか反動を使って起き上がり座った姿勢になると、ちょうどベルトの土手の上(上端)にバーベルが乗っかっている形になるので、それを持ち上げてベンチに下ろすだけで済んだ。

そして、そのうちセーフティー付きのベンチ台に変わって事なきを得たわけである。

まあ、ベルトをしないでベンチプレスをする人の場合は問題ないと思うが、ベルトを付けてする人はこの辺りに注意してもらいたいと思う。くれぐれもバックル近くの革が細い形状で薄目ののベルトで抜け出しを計らないでほしいと思う。




そして何より、これはセーフティーがないベンチしかなくパワーラックも置いていないジムに通っている人に、緊急用に練習しておいてほしいと思っただけで、そういうジムの場合は、できる限り補助を付けてトレーニングしてもらいたいと思う。

「自分のことは棚に上げて」と言われるだろうと思う。確かに。が、毎回何度もうまく抜け出していた恵でも、やはり怖い思いをしたことは一度や二度ではないからだ。

さっきのベルトのバックルにバーが引っ掛かるのはあまり大したことはないが、それ以外でよくやったミスに「片側のラックにだけバーが掛かる」というのを何度もやった。これは非常に危ない。

これは左右のバーラック間が広く内側を握るタイプのベンチプレス台では起こらないのだが、バーラックより外を持つ形の支柱と支柱の間が狭いベンチプレス台だと起こりやすい。

「もう挙がらない」と思った時に、またバウンドさせて抜け出すのが面倒だったり、他の人が近くにいるから飛んで来そうで嫌な時で、「何とかラックにかかりそう」というぐらいまでバーベルが挙がっている時によくやったミスである。

つまり、そこそこ挙がっているが、もう力が残っていないため挙げ切ることはできず、ヘロヘロになってあまりコントロールもできなくなっている時に、無理にバーラックにバーベルをかけに行って起こる現象である。

片側のラックにだけバーが掛かって反対側が掛からずに落ちてバーが滑り、ラックとプレート止めに片手を挟まれるのだ。

そうなると、力が残っていない時に傾いているバーベルを片手だけで水平にまで戻すのは難しく、こうなると本当に辛い。人がいる時は誰かが助けてくれたが、いない時は、少し休んでから少し持ち上げて怪我を覚悟で無理やり手を引き抜いていた。

これはベンチの形状やラックの高さによってはかなり危ないと思う。片側だけラックにかかっているため、首の近くにバーベルのバーが来るからだ。恵は大丈夫だったが、条件が揃えば首に落ちる可能性すらあるので。




まあ、慣れてくると怖さを忘れてくるので気を付けてほしいと思うが(おまえが言うな?)、セーフティーもパワーラックもないジムでトレーニングしている人は、上記を参考にして自分なりの脱出方法をとりあえずは確立しておいてほしいと思う。

そして、その上で補助を付けるなど、できる限り安全に楽しくトレーニングを続けて行ってもらいたいと思う。

 

スポンサーリンク

 

 

【ベンチプレス】セーフティーの使い方から肩甲骨寄せや傾きの修正まで

 

目次へ

 

スポンサーリンク