竹原ピストルLIVE IN やまと郡山城ホール

これは以前夫婦で浜省ライブに泊りがけで行って帰ってきた時の光景である。これでも恵がかなり片づけた後。元々床一面、シートから出たスポンジで埋め尽くされていた。恵の代わりにその夜は娘が一緒に寝たのだが、その娘が仕事に出掛けて、どうやら「捨てられた」と思ってヤケになったようである。保護犬の特性か。今回のピストルライブは日帰りだったが、夜遅くまで1匹で暗い中にいたため怖かったのか、お腹を壊した「痕跡」が残されていた。

 

 

今月24日、竹原ピストルライブのためにやまと郡山城ホール(小ホール)に行ってきた。

申し込みの時、オリックス劇場(旧大阪厚生年金会館)と迷ったが、弾き語りライブなので、できれば狭い空間の方が良いかと思い、そちらを選択した。

オリックス劇場はキャパ2500ほどで、やまと郡山城ホールの小ホールは300ほど。両方で観ていないので「正解だった」とは言い切れない。が、4列目ぐらいの席だったこともあって生ピストルのすごい迫力を感じることができ、やはり正解だったと言いたくなる。

恵の住んでいるところからだと、オリックス劇場は都会なので電車になるが、大和郡山だと車・電車のどちらでも行け、時間的にもそう変わらない。それも郡山を選択した理由の1つだった。

皆さんも経験あると思うが、ライブ終わりの電車による帰宅は結構しんどい。ライブ前に酒を飲んでから行く恵には尚更である。酒を飲めない嫁でさえ、帰宅時は車の方が良いらしく、飲酒した恵の代わりに帰りは運転になるとしてもそちらの方が良いというので、郡山に決めた。

帰りは嫁の運転というパターンは、「涙がこぼれそう」で書いた堺東GoithでのThe Birthdayのライブの時に経験済みだった。




恵はライブに行く時は毎回少々緊張するので、できれば酒を飲んでから行きたい。遠足に行く時の子どものような感じというか何というか、せっかくライブに行くのに楽しめないと嫌だ、という変な欲が出るためだと思う。

バースデイなどはもう何度もライブに行っているが、それでも毎回飲んでから行く。その方が集中できると思うというのもある。恵はリラックス=集中だと思っていて、アルコールが少々入っている方がリラックスできると思うからだ。

だが、いつも行くような都会と違って、大和郡山駅周辺には酒を飲める店がそれほどなかった。前もって見つけていた店はわずかに一件。しかも狭い店で到着時、店内は満員で入れなかった。

その店は昼間から炭火でホルモンなどをつまみに飲めることに加え、ハイボールが280円、おでんも1品80円という安さなためか、非常に繁盛しているようだった。かなり酔っぱらっている感じの大声が外の通りまで響き渡っている。その前を、学校帰りの中高生がたくさん通っているという、何とも不思議な光景だった。

恵たちはしばらく他の店を探していたのだが見つからず、戻ってその店の前をうろうろしていると、ちょうど1席空いたので中に入った。




カウンターバーやカウンター式の喫茶店のような造りなのだが、カウンター席はないという面白い店だった。空きスペースにドラム缶がいくつか置いてあり、その周囲に椅子がある。つまり、ドラム缶がテーブルで、その真ん中には炭火を置ける窪みがあって、網さえ置けば七輪代わりになるようだった。

恵たちが座ったのは、ママさんが1人でてんてこ舞いしているカウンター前の2人用の席だった。カウンターから狭い通路を隔てて壁にドラム缶が置いてあり、そこに特急列車の向かい合わせの席のように座るわけだが、両サイドの背中側に目隠しのための仕切り棚があり、ドラム缶との間にはほとんどスペースがない。

大股を開いてドラム缶に脚を添わせる形で上半身は直立といった感じになる。恵にとってはそれ以外に座りようがない。細い嫁はカウンター側に横向きに座っていたが、ドラム缶と仕切り棚との間に恵の身体の幅ほどのスペースはなかった。




味はどれもおいしくて良かったが、恵の後ろ側の4人程の客の声が大きすぎて、嫁と会話することが困難だったのが玉にきず。ライブ前にそこまで泥酔する気のない恵は、同じような大声で話す気にはなれない。

だが、嫌でも聞こえてくる会話で、後ろの客達もピストルライブに行くことが分かった。

ライブ前にそこまで飲むんや。。。

よー、そこの若いの」で恵も書いたが、後ろの一番声が大きい男性もピストルの話の中で玉置浩二の名を上げ、「彼が一番歌がうまい」と言っていた。

ちゃんと聞いてはいないので詳細は分からないが、「歌がうまいとはどういうことか」という、恵が「音楽チャンプはなぜ終わる?」で書いたような話をしていたのだと思う。恐らく竹原と玉置は歌がうまいと思っているようである。まあ、これは恵も同意する。

その引き合いに出していたのは、失恋時の思考の堂々巡りをリフレインにつぐリフレインで表現した曲で有名なあの歌手で、「奴はギターはうまいが歌はうまくない」そうだ。これは恵は同意しないのであしからず。ギターがうまいことには同意するが。

ギターで思い出したが、恵はライブ演奏時のギターの弾き方で、ピストルがA型であることがすぐに分かった。当然、これは「テレビでの演奏で」という意味だ。なぜなら、恵はピストルのライブに行くのはこの日が初めてだったので。

O型の恵から見ると、ピストルはギターの弾き方が荒っぽいようで実は結構細やかで丁寧なのだ。あれだけ絶叫する時に強く弾く場合、恵なら歌に合わせてギターももっと荒っぽく雑になる。

いや、O型全員がそうだとは言えないが、とにかく、それを見てA型だろうと思った。他にギターの弾き方でA型だろうと思って当たっていたのは、長渕剛と先の引き合いに出されていた「リフレイン男」である。2人とも弾き方が細やかで丁寧。特に長渕さんはピストルと同じで荒っぽいように見えて、というタイプである。




ほろ酔いになった頃に丁度良い時間になったので、恵たちは会場に向かった。後にライブ中ピストルが「駅からの道で誰にも声を掛けられなかった」と言っていた道を歩く。けど、あのピストルが近鉄で来たって。。。

ライブ会場であるやまと郡山城ホール辺りから来る人々は、皆かなりの高齢者ばかりである。何かの会合があったのだろう。他にはあまり人とは出くわさない。これでは当然ピストルでも声を掛けられることはないだろう。

都会のライブ会場の場合、キャパに関わらず外に並んで待たされることがほとんど。「UMEDA CLUB QUATTRO」は外ではないが、それでも階段に並ばされる。が、今回の会場は大ホールもある大きな建物であるのに、ピストルライブの客は300人ほど。それに加え、その時間帯に他の催し物はないようだった。だから、恐らく外には並ばず中の広いロビーに並んだのだと思う。

「恐らく」と書いた理由は、恵たちは開場時間を過ぎてから到着したので知らないのだ。15分ほど過ぎて着いたらホール前には客は誰1人おらず、みんな中に入った後だった。待つのが嫌で、恵たちは指定席の時はいつも少し遅れて行くのだが、15分以内なら待っても知れていたな。

小ホールのキャパは300人ほどだとはいえ、中は結構広い会場で映画館のように2階分ぐらいが傾斜になって座席が設置してある。そのためどこからでも出演者が良く見えたはずだ。

 

 

ネタバレがあまりないように書くつもりだが、それでも少しはあるだろうから、それが困る人はここからは読まないでほしい。

ピストルが舞台に上がってきた時、まず思ったのは、「戦闘態勢」ということだった。彼は高校大学でアマチュアボクシングをやっていたそうだが、実際リングに上がった時の感じはこんなんだったんだろうなあ、と思った。

通常のミュージシャンによくあるような柔らかい笑顔や和やかな雰囲気はなく、ほんの一瞬だけ会場の方へ笑顔を向けて、すぐギターやハーモニカの調整などに入り、歌について猛スピードで短い説明だけして歌い始める。その説明の時も、会場の方には目もくれず、まるでマイクに語り掛けているかのようだった。

シャイで緊張しているというのもあるだろうが、それよりピストルにとって舞台はやはり戦場なのだな、と感じた。



一曲目から一瞬泣きそうになった。テレビで観ていてもそう思っていたが、本当にすごい迫力。圧力をかけてくる時のパワーがハンパない。恵たちは4列目ぐらいだったのだが、1曲目が終わった時、後ろの方から「一曲目から感動しました!」という声が上がっていた。

それに対しても、やはりピストルはペコッと、どこに向けてか分からないような超素早い会釈をするだけ。想像以上にシャイで、かなり対人が苦手そうである。それはルーティーンを見ていても分かる。イチローばりに完全に固定型があるのだ。

次の曲に入る前、まずタオルで顔を拭き、そのままそのタオルでギターの弦の汗を2往復ほどで拭い取り、水を一口飲むのだ。これを超高速で必ずやる。水は時々二口になるが、行程は常に一緒。毎曲間でそれをやるのだが、恵が気にかかったのは、タオルが1枚しかなかったことだ。

そのタオル、さっきギターの弦拭いたやつ。。。

彼にとってはギターの弦も顔も同じような扱いなのだ。片手で顔をガバッと1拭いして、そのままギターを拭き、次の時また同じタオルで顔をガバッと、、、それの繰り返し。

そして、その間もギターをジャランと鳴らしたりして、できる限り間を開けないように客を待たせないように気を付けている感じだった。

気ぃ遣いん(気を遣う人)やなあ。。。

実際、それがよく分かったのがギターのチューニングをしている時。一度チューニング時にMCを入れようとしたのだが、意味不明に話が途中で止まってしまった。そして次の曲間の時、「さっき無理してMC入れようとして分けわかんなくなったので、ちょっとチューニングに集中していいですか?」と客に訊くのだ。

恵も中高の時、人前で弾き語りをしていたので、シャイな人間にとって、舞台上での間が怖いのはよく分かる。恵は初舞台の時、それで頭が真っ白になったから。




それは中学の文化祭の時だった。恵が通っていた中学には講堂がなく、文化祭などの催し物は大きな体育館でやるのだが、そこへ45人学級×13クラス×3学年+教員と父兄でほぼ2000人ほど。

前の出し物が終わり、恵たちの番になる前、こそっと幕間から会場を覗いてみた。生徒たちは口々に話していてざわざわしている。それを見て恵は「あっ、大丈夫だな」と思った。親が詩吟の先生である関係で、恵は幼少期には詩吟で舞台も経験していた。

が、これが大間違いだった。係りの先生に呼ばれ、舞台に上がる。まだ、ざわざわしている。大丈夫。ただ、いざ曲紹介のアナウンスが入ると、みんなが話すのをやめ、一斉にこちらを見た。

三角座りしている生徒たちの無数の目が、恵を見上げている。会場が体育館でスポットライトがない関係から、カーテンも引いていないので暗くもなく、そのまま観客の視線が目に入るのだ。途端に頭が真っ白になった。

この時ばかりは何をどう演奏し、歌ったのか全く覚えていなかったが、カセットテープに録音してくれていた友人がいて、後でそれを聴いてみると、それなりにまともなデキだったので、かなりホッとしたことを覚えている。

それ以降は、そこまでの大人数の前で弾き語りをしたことはなく、また、初めての時が強烈だったためか、2度目からはそれほど緊張することはなくなった。




話をピストルに戻す。

彼は数曲歌うごとにほんの短いトークを交えるが、それらはどれも面白かった。恐らく綿密に計画して用意してきたものだったのだろうと思う。客いじりは一切ない。恐らく、それをするとアドリブでの対応となるので避けていたのだと思う。

セトリがばれてもと思うが、ライブでは定番だろうと思われる曲についてだけ少し書く。

「オーバー・ザ・オーバー」「よー、そこの若いの」「Amazing Grace」などの近年の曲は圧も強く本当に良かったが、恵は野狐禅の頃の「ぐるぐる」や「じゅうじか」なども好きなので、それらをやってくれて嬉しかった。

なんか、子どもの感想文みたいやな。。。

歌についての感想はなかなか書けないし、また、必要もないようにも感じる。みんな知っているだろうし。それよりはライブならではの感じが知りたいだろうと思うが、恵は文才がないためか、それもうまく書けない。

曲間の短いトークを全て書くと、読んでいる人がライブを観に行った時の面白さが半減すると思うからこれも書けない。恐らく彼のトークは「ほぼ固定」だと思うので。

ただ、1つだけ書いておくと、「俺のアディダス」を歌う時、一度歌に入りかけてからやめ、「なんも恩返しできてねえなあ……」とマイクを見詰めながら、独り言のように言っていたのが印象的だった。

ご存知の通り、この曲は彼をスター街道へと導いたダウンタウンの松本人志さんに捧げたものである。




恵にとっては、ピストルは人物的に「好きなタイプ」で曲もまたそうなのだが、人それぞれに好みがあるので誰に対しても「絶対おすすめ」とは言えない。バースデイなどのロックとは違い、「ノリ」などはやはり少ないので。

が、テレビやラジオなどの媒体で、ピストルに興味を持ったことのある人は、一度ライブにも行ってみてほしい。いや、恐らくは初めて聴く人にとっても、彼の歌の迫力には圧倒されると思うので、「来てよかった」と思うことは間違いないだろうと思う。

ただ、実は恵はライブ中に少し寝てしまった。座って観ていたことと、今回は少し酒の量が多すぎたことが主な原因だと思うが、ライブの「緩急」も一因のように感じる。

前日に、恵は嫁に「ピストルの歌は緩急がすごいな。ボクシングのタイプが分かる気がする」と話していた。ご存知の通り、彼の歌は1曲の中での弱い部分はめっちゃ弱く、攻める時は猛烈にごり押ししてくる。ボクシングでは、ずっと同じ強さで打つより、緩急をつけた方が効きやすいと言われている。つまり、彼の歌はまさに「よく効く歌」だと思うのだ。

しかし、、、1曲の中では緩急がすごい。確かに他に類を見ないぐらいにすごい。が、全ての曲がそのパターンなため、「ライブ」と一括りにすると「緩急がない」のだ。

たとえ、1曲が「弱・弱・弱・弱・最強」というパターンでも、「最強」の部分があると、印象は「最強」となる。そして、彼のほとんどの曲には「最強」が含まれているので、「全曲最強」となるのだ。

こんなことを言うと、熱狂的なファンに怒られるかもしれない。が、ピストルが好きでこれからも頑張ってほしいために「改善点」を素人目に、勝手に言っているだけで、ライブがつまらないと言っているわけではない。非常に楽しかったし、何度も泣きそうになったし、実は少し泣いたし。

彼の曲の中にも「へっちゃらさ、ベイビー」など、全く「最強」部分がないものもあるので、それらをうまく間に入れることをピストルにお勧めしたい。そして、これからもそういう「圧」のない良い曲も多く作っていくと、ライブ全体での緩急を作り出せて、末永く活躍してくれると思うのだが、

皆さんはどう思われますか?

、、、って、ピストルがこのブログ読むことはないだろうから、意味ないか。。。

 

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