引越し業者によって、それぞれ得意分野は違う

前回「引越し業者の口コミは当てにならない」で書いた廃棄が得意な引越業者が訪問見積もりに来てくれた時の話をする。

電話連絡して呼ぶと、いかにも体育会系上がりだが非常に腰の低い若者がやってきた。案の定、怖がりの引きこもり犬・アンが吠えながら逃げ惑う。お漏らしを拭きながら恵が後を追う。

1番はじめに恵の部屋を見積もってもらい、別室に移ったところで恵とアンは部屋に入ってドアを閉めた。だから、交渉は嫁だけで進めることになる。これは想定内のことだった。

 

あの日はほんまに怖かったわ、父ちゃん。。。

 

彼が恵宅の各部屋にある物を1つ1つ確認して見積もりを作っていっているのは、少しだけ聞こえる会話でもよく分かった。

「意外に細かく計算するんやな……」

そう思った。

恵は過去にベスト引越サービスとアリさんマークの引越社を利用したことがあるが、いずれももっと大雑把な見積もりだったからだ。だいたい見て「どのクラスのトラックが必要か」「作業に何人必要か」だけが分かれば、金額的には差が出ないためだろう。(ちなみに恵はもっと多く引っ越ししているのだが、20代の間は全て自力で引っ越している)

 

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しばらくして、「えーっ!」という嫁の素っ頓狂な声が聞こえてきた。驚いた時の彼女独特の笑いながらの早口で何か話し続けている。

その後、玄関ドアが閉まる音がして、恵の部屋のドアが開いて嫁が顔を見せた。

「なんや、もう帰りはったんか?」

「ううん。上司の人との交渉のために車に戻りはった」

「で?」

「それでぇ……初め、30から50って言われた」

「何じゃ、それ?」

「2トンでは載らないし、上からそう言われていると。ただ、『そんなの絶対無理!』と言うと、相手の人も『そうですね。私も15~6万ぐらいかと思うのですが』って言ってた。だから、今交渉してもらってる」

話していると彼が戻ってきたので、また嫁は部屋を出て行った。

嫁は20年近く前の引越し金額(約7万。アリさん)から、今回の代金を10万ぐらいと踏んでいた。廃棄は多いが運ぶ量は前回とそれほど変わらないし、距離も車で10分だからだ。が、恵は時期的にそれはないと思っていた。

恵たちが引っ越す3月末は、引越し業者にとって1年間で唯一と言って良い繁忙期だからだ。通常期の2~3倍の金額を提示されるのが普通である。それをどこまで下げさせるかである。

 

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次に嫁が顔を見せた時言ってきたのは20万だった。一気にえらい下がったな、と思ったが、「実は、上司には15万ぐらいと言ったことを怒られたそうで、上は30万と言っているが、もう一度20万で交渉するって」ということだった。

それから何度か上司との交渉のために車に戻って行ったが、20万までしか下がらなかった。相手は即決を迫ったが、恵はその必要がないことを知っていたので「考えたいから」と言って、ひとまず帰って頂いた。

彼は細かく見積もっていたのにその見積書を置いて行かず、名刺も置いて行かなかった。板挟みでしんどそうだったから、ただ単に忘れていたのかもしれない。

理由は不明だが、嫁はそれもあって、「でも、後からお願いしたら、その時には20万にはならないかもと、30万ぐらいになるかもって言ってた」と心配していたが、そんなことはまずないし、それなら他に頼めば良いだけである。業者はいくらでもあるのだ。

そして、業者によって得意分野は違うのである。その業者は「量」を気にして距離を気にしていなかったが、逆の業者も多くある。恵の感覚ではトラックの台数・種類やを多く持つ大手の場合は、量より距離を気にする傾向にあると思う。10分の距離なら、その日、他で作業した「ついで」に1件済ませられるからだ。

だいたい交渉は1社だけでやるものではなく、数社で競合してもらうものである。だが、嫁はそういう方法を、どこか「悪いやり方」のように感じているところがあるようで、あまりやりたがらない。

これには育った環境その他が関係しているのだと思うが、次回は、その「値切る」ということに関する恵の考えを述べたいと思う。



引越し業者の口コミは当てにならない

値切り交渉についての考え方

サカイ引越センターの見積もり例(サカイに決めた理由)

 

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