男性のウエイトトレーニング法・ベーシック

まず、前回「男性のウエイトトレーニング法・導入編」で書いた、高校生の男の子の話をする。

その男の子は、それなりに締まった身体はしていたが、どちらかと言うとマラソン選手のような体型で、お世辞にもマッチョと呼べる感じではなかった。恵はその体型が悪いとは思わなかったが、本人にとってはそうではないようだった。

 

父ちゃん、アタシはどう? 何マッチョ?
「……」

 

「いくらトレーニングをしてもなかなか筋肉も付かず、パワーも上がりません」

本人はもっとマッチョになりたかったのである。

そこで彼のトレーニング法を聞いてみると、「ベンチプレス50kgを10レップス10セットです」と答えたのだ。レップスとは1セット中のバーベルを上げ下げする回数のことである。

それを聞いて、すぐ彼の悩みの原因が分かった。それではなかなか筋量も筋力も上がらない。なぜなら、そのやり方では恐らく前の9セットはほとんどトレーニングになっていないからだ。そして、主要筋もスタビライザー(前後左右にぶれるのを防ぐ筋肉)もかなり疲弊した状態での10セット目も、やはり筋量・筋力を伸ばすという点では効果が薄いと思う。

たとえば、本当に50kgを10レップスしか挙げられない人の場合、2セット目は8~9レップスしか挙がらないものである。逆の言い方をすると、もし2セット目でも同じ回数が挙がるのだとしたら、それは1セット目が限界まで追い込めていないということだ。

 

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彼の場合のように、それが10セットも同じ回数が挙げられるということは、恐らく1セット目は15~20レップス挙がるだろうし、10kgは優に上の重量が10レップス挙がるだろう。もしくは、長い間のそのようなトレーニングによって筋持久力が異常に発達しているのかもしれない。

いずれにしても、そのようなやり方は筋量・筋力を伸ばすのには向いていない。50kg10レップスが限界の人なら、20kg10レップス・30kg8レップス・40kg6レップスという具合に、疲れない程度の回数でウォーミングアップとして挙げて、その後、本番セット50kgを挙げられるだけ挙げる。

まだうまく力が発揮できていない間は3~5セットぐらい、重量を少し落としたりしながら行うと良いと思う。但し、毎セット全力を出し切る形で。

うまく爆発的に力を発揮できるようになってきたら、セット数は2~3セットでも十分だし、人によってはそれ以上は挙げられなくなる。これは1セットに費やす筋力やエネルギーが多くなるからだ。



2~3セットの時のやり方は同重量でレップスが下がって行くものでも、重量を下げて同じレップス狙いでも良いと思う。ただ、筋量と筋力を同時にアップさせたいのなら、個人差はあるが、だいたい1セット6~12レップスの間をキープした方が良い。

具体的に言うと、8レップスが限界だとすると、同じ重量だと2セット目は6~7レップス、3セット目は5~6レップスぐらいだと思うので、それでも良いが、1セット目は8レップス、2セット目はそこから2.5kgか5kg落として8レップス、3セット目はそれからまた2.5kgか5kg落として8レップスを狙うというやり方もある。

上記の例では8レップス狙いで書いているが、これは人それぞれで6レップスの方が良い人もいれば10レップスの方が向いている人もいるので、お好みで良いと思う。ただ、6レップス狙いだと下手をすると1セットが4~5レップスとかになってしまうから、2~3セットしかやらない場合はもう少しレップス数を多くした方が良いだろう。

また、5レップスしか挙がらないものを6レップス挙げるより、8レップス挙がるものを9レップス挙げる方が遥かに簡単だ。その辺りの「伸ばす」ことも考えて回数を決めると良いと思う。

 

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また、各セット狙うレップス数を変えても良いと思う。

毎回違うトレーニング法では身体が慣れずマイナスにもなるが、慣れすぎると今度は刺激を受けなくなってしまうので、時々は違うトレーニングもしてみてほしい。

それは、ベンチプレスしか行っていない人がダンベルプレスやダンベルフライをやってみるということもそうだが、同じベンチプレスであっても、たとえば、日頃、

アップ 20kg10レップス 40kg8レップス 50kg6レップス

本番      60kg8~10レップス狙い2セット 55kg8~10レップス狙い1セット

というやり方の人は、

アップ   20kg10レップス 40kg8レップス 60kg4~5レップス 70kg2~3レップス

本番   80kg挙がるだけ(恐らく1~2レップス) 70kg挙がるだけ(恐らく3~5レップス) 65kg挙がるだけ(恐らく5~7レップス) 60kg挙がるだけ(恐らく6~8レップス) 50kg挙がるだけ(恐らく8~12レップス)

という、マックスチャレンジ型の日も時々入れてほしいと思う。



ある程度トレーニングに慣れたら、マックス挑戦や2~3回しか挙げられない重量を扱うことも大事だ。身体に新しい刺激を与えるためである。

長く同重量同回数で行っていると、身体が適応して「それ自体」はやりやすくはなるのだが、逆に「それ以上」にはなりにくくなるのだ。そこへ「経験したことのない負荷」をかけてやると、「大きくならなきゃ」と思ってくれるわけである。

だからといって、毎回マックスチャレンジをしていると、肝心のトレーニング(6~12回狙い)の時に力が出ないので、これもまたあまり伸びない原因になってしまう。マックス挑戦は多くて月1~2回で十分だと思う。

ただ、1度重いのを上げると、その挙げられる重量をあまり落としたくない、という心理が働くだろうし、「伸ばす」ということで考えてもマックスはできるだけ落とさない方が良い。だから、その場合はマックスから5kg・10kg落とした重量を「最終のウォーミングアップ」として挙げると良いと思う。

5kg下なら本来は2レップスは挙がるのだが、それを1レップスにとどめ、あくまでアップとして行うのだ。10kg下なら4レップスほど挙がるはずだが、その場合は2・3レップスにとどめる。

これなら本番セットにあまり影響しないだろうし、逆に身体が目を覚まして「下から重量を上げて行くだけのウォーミングアップ」の時より、本番セットで挙がる回数が増える場合もある。

80kgがマックスの人で具体的に言うと、

アップ   30kg8レップス 50kg6レップス 65kg3レップス 75kg1レップス

本番      60kg8~10レップス狙い2セット 55kg8~10レップス狙い1セット

もしくは、

アップ   30kg8レップス 50kg6レップス 60kg4レップス 70kg2~3レップス

本番      60kg8~10レップス狙い2セット 55kg8~10レップス狙い1セット



今回は初心者用のベーシックなトレーニング法だったので、次回は中・上級者向けに「停滞期脱出法」などを書いてみたいと思う。

 

男性のウエイトトレーニング法・アドバンスド

 

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