男性のウエイトトレーニング法・アドバンスド

男性のウエイトトレーニング法・ベーシック」で、6~12レップス数セットの方法で、ある程度慣れたらマックス挑戦や2~3回しか挙げられない重量を扱うことも大事だと書いた。

これは長く同じような重量・同じような回数で行っていると、身体が適応して挙げやすくはなるが、次第に刺激を受けなくなって「それ以上」にはなりにくくなるからである。時々は「経験したことのない負荷」をかけて身体に「大きくなろう」と思わせることも必要なのだ。

 

アタシのトレーニング法は
父ちゃんと家に噛み付くこと。

 

もう既に扱う重量やレップス数を変える方法は取り入れていて、それでも停滞している場合は、たとえば胸ならベンチプレスのセット数を減らし、代わりにダンベルプレス・ダンベルフライ・ペックデッキフライ・ケーブルクロスオーバーなどの補助種目をいくつか入れるという方法がある。

 

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初めのうちはアイソレーション(単関節)種目などの補助種目はやらず、BIG3と言われるベンチプレス・デッドリフト・スクワットなどのコンパウンド(多関節)種目だけをしている方が身体を大きくしやすいと言われている。

一つの関節しか動かないアイソレーション・トレーニングでは使う筋肉が限られるが、複合的に関節が動くコンパウンドなら、一度に幾つもの部位を鍛えられるので、その分無駄なエネルギーを使わず効率が良いのだ。

ただ、停滞してきたら話は別である。一つの部位だけを鍛えるのに向くアイソレーションも取り入れてみてほしい。

また、「一番きつい場所が違う3種目を取り入れると良い」というトレーニング理論があり、多くの人がそうしている。たとえば、ベンチプレスは胸から少し挙げたところが一番きつく、ダンベルフライの場合一番きついのはボトム。また、ペックデッキフライ(バタフライ)の場合は最後閉じ切ったところが一番力が要るので、この3種類をやると胸が発達しやすいというわけだ。



それ以外にも日頃とは違う刺激を与える方法として、パーシャルレップスという可動域を狭くして高重量を扱う方法や、その逆の低重量高回数トレーニング、また、チーティングといって、反動を使ったりベンチプレスで腰を上げたりする方法もある。

パーシャルレップスは、具体的にはたとえばベンチプレスの場合、ラックアウトして、胸まで下さずハーフもしくはクォーターぐらいの上の方だけの狭い可動域で上げ下げするやり方である。これだとマックスの数十キロ上の重量が扱えるので、マックスチャレンジとはまた違った刺激を受けることができる。

ちなみに、恵は肩を壊した時7年間ぐらいこのパーシャルだけでやっていた。このことに関しては「バーベル・魔法の道具」に詳しく書いたが、下まで下すと肩が亜脱臼するようになったからだ。

そのお陰で、パーシャルは200kg近くまで扱えるようになったのだが、7年間通常のベンチを一切やれなかったために、再開した時、やはり元よりは随分落ちていたので、これをメインのトレーニングにはしないで欲しいと思う。あくまで「違った刺激」として、時々取り入れるという感じで。




低重量高回数トレーニングは文字通り。軽めの重量を選んで、いつもはやらない高回数を挙げて違う刺激を与える。

チーティングは、既に使って(しまって)いる人も多いと思う。恵も初期の頃から自然と多用していた。これは、たとえばベンチプレスで8レップスで限界を迎えた時に腰で反動をつけて、もう1~2レップス続けたりする方法である。

また、初めから腰を浮かせてやるというやり方もあるし、バーベルカールなどの場合は、初めから反動を使って重い重量を扱うという方法もある。ただ、チーティングは癖にもなるし、どこかを傷める可能性も高くなるので、かなり慣れてからよく検討して取り入れてほしいと思う。




チーティングの代わりになるものにフォースドレップスというのがある。もう挙がらないところまで来たら、補助に少し持ち上げてもらいながら追い込む方法である。

ボディービルダーの場合はこれを取り入れている人も多いようだが、ベンチプレッサーやパワーリフターはやらない人が多いようだ。その理由は「自力で挙げ切る癖をつけるため」だそうだ。

この辺は、身体を大きくすることが目的か、重いものを挙げることが目的かで違ってくるのだと思う。ただ、それも「違う刺激」になるので、停滞期などに取り入れてみたりするのは良いかもしれない。

また、補助がいれば「ネガティブレップス」も採用することができる。自分では挙げられない重量を用いて、下す方だけ頑張るのだ。そして、挙げる時は補助に力を貸してもらう。そして、また下すときだけ自力でゆっくり下ろすのだ。




パーシャルレップスやネガティブレップスは、自力で挙げられる重量の数十キロ上の重量を扱えるので、これら方法では「経験したことのない重さ」を身体に感じさせることができる。

パワーラックやセーフティーガードのあるベンチプレス台を使っている場合は1人でもそれほど問題はないと思うが、それでも危険なのでかなり慣れてから採用した方が良いと思うし、セーフティーがない器具の場合は、必ず熟練者に補助をお願いして行う必要がある。

ただ、これらはあくまで停滞期脱出用や熟練者用のトレーニングだから、初心者の方は絶対やらないでほしい。ネガティブレップスで無理な重量を下ろしたり、パーシャルのつもりが下ろし過ぎて胸に落としてしまったりした場合、過剰な負荷がかかり筋肉が断裂する可能性もあるので。

ある程度慣れてから、パワーラックでセーフティーバーをハーフぐらいで止まるように設定してパーシャルをやるか、ネガティブは補助付きで軽めの重量から慣らしていってみて。

 

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ただ、上腕二頭筋のトレーニングであるダンベルカールなどなら、自分でその補助を行える。プリーチャーカールベンチに座り、片手では1レップスもできない重さのダンベルを持つ。そして、反対側の手で補助をして挙げ、片手でゆっくりと下すのだ。

この時、絶対に腕を完全には伸ばし切らないように。腱や関節を傷める原因になるから。事故防止のため、あらかじめ反対側の手を添えておいて、伸び切る少し手前で補助を入れて挙げ、また片手の力だけで下ろす。それを繰り返すのだ。

二頭筋のような小さな筋肉は、元がかなり細い人の場合ストリクトでは扱える重量が低いため、なかなか発達しなかったりする。恵自身がそうだった。空手をやっていた頃はほとんどベンチしかしておらず、二頭筋に関しては一切やっていなかったので、そこだけ発達が遅れていたのだ。

30半ばでウエイトを再開した時からやり始めたのだが、二頭筋に関してはマッスルメモリーもなく、全然だった。ストリクトでやっていても、あまり刺激すら受けない。そこでネガティブレップスやチーティングを使ってやってみると、強い刺激を受けたので、それで続けていると、次第にストリクトでも扱える重量が伸びるようになっていった。

ちなみに、マッスルメモリーとは、「挙げたことのある重量を筋肉が覚えている」という意味で、実際には「脳」なのだろうが、とにかく、一度挙げたことのある重さまでなら、かなり早く挙げられるようになることを言う。

たとえばベンチで100kg挙がるまで3年かかった人が、数年中断して初めてベンチをやった頃の重量しか挙がらなくなったとしても、再開した場合、今度は3年はかからず半年とかで挙がるようになるのだ。

まあ、とにかく、ある程度トレーニングに慣れたにもかかわらず、二頭筋だけ筋量も筋力もあまりアップしていないようなら、ネガティブレップスやチーティングで重いウエイトでもやってみてほしい。ただやはり危険は伴うので、あくまで慣れてからということで。



これら以外にも、停滞期を脱出する方法の一つとして「レストポーズ法」というのがある。これは10秒以内に重量を落としながら数セットこなす方法である。

(例)80kg限界レップス→10秒→70kg限界レップス→10秒→60kg限界レップス→10秒→40kg限界レップス

この例で言うと、最後の40kgの時以外は4~8レップスできる重量を選定してほしい。たとえば2セット目が70kgでは3レップス以下になるようなら65kgに変えるという風に。そして、最後の40kgは恐らく12レップス以上になると思うが、それで構わない。

10秒というのは結構短く、かなり早くウエイトを付け替える必要があるので、あらかじめ左右1枚ずつプレートを外せば次の重量になるように設定しておく。先ほどの例なら簡単。

20kgのオリンピックバーで考えるとする。カラーは使わない。内側からまず10kgプレートを左右2枚ずつ付け、次に5kgプレートを左右2枚ずつ付けておく。これで80kg。次に外側から左右1枚ずつ外せば70kg、またそこから1枚ずつ外せば60kg、次1枚ずつ外すと40kgになる設定である。

当然、このレストポーズ法はウエイトスタック式のマシンなどがあれば、ピンを指し替えるだけだからより容易にできる。

 

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話が出たついでに、次回はウエイトスタック式マシンやスミスマシンの是非について書いてみたいと思う。

 

男性のウエイトトレーニング法・マシントレーニング

 

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