ウエイトトレーニングでも才能?(ハードゲイナーへ・その②)

最近、アンの写真を撮ってないから同じのばっかり。。。

 

人は何に対してでも「才能」を気にする。

それはウエイトトレーニングにまで及んでいて、「自分(君は)、100kg挙げるまで、どれだけかかった?」などと聞かれたりする。

だが、本当にそんなことは重要なことなのだろうか?

ウエイトトレーニングは、競技力をアップさせるためであったり怪我の予防であったり、また、美しい身体になるためなど、目的があってするものである。つまりは目的が達成されれば、そのためにどれだけ時間がかかったかなど関係ないと思うのだ。

だから恵は逆に訊きたい。「1年かかるところを半年でできたとして……で、それが何?」と。1人は100kg挙げるまで1年で、もう1人は3年かかったとしても、100kg挙げるようになってしまえば、現在は2人とも「100kg挙げられる人」なだけである。

 

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恵自身のことで言うと、実際のところが分からないのである。

バーベル・魔法の道具」で書いたが、恵は20歳の時に空手を始めた。それでもまだ身長177cmで体重が50kg台半ばしかなかったから、しばらくしてその補強として安いベンチプレス台とバーベルを買ってウエイトトレーニングを始めたのだ。だが、買ったバーベルが70kgまでしかなく、長い間70kgまででトレーニングしていたのだ。

ウエイトトレーニングをしている人なら分かるだろうが、同じ重量でトレーニングし続けていたら、身体はすぐに刺激を受けなくなってそれ以上発達しなくなる。恵も例に洩れず、70kgが10回ぐらい挙がるようになってからあまり伸びなくなって面白くなくなり、トレーニングをよくサボるようになった。すると70kgが数回しか挙がらなくなるので、また始めると10回ぐらい挙がるようになり、またサボる。それを数年間繰り返していた。



初めてベンチプレスをした時の記録は55kgだった。だいたいその当時の自分の体重と同じ。そして、2回目にトレーニングした時は60kg、3回目は65kgが挙がった。4回目は70kg失敗、5回目も失敗、6回目のトレーニングの時に70kgが何とか挙がった。だいたいここまで2週間。

「そんなの嘘だ。そんなすぐに伸びるわけがない」と言われる方は、ウエイトしたことあるのか少し疑問に思う。初めのうちはうまく力を伝えられず、持っているパワーを全てバーベルに伝えることができない。そのために挙がらないだけで、つまり恵は元々70kgを挙げる力があったということなのだ。

体重55kgで70kgを初めのうちから挙げられるのは結構良い方らしいが、元々恵は中一からそれまでずっと腕立て伏せをやっていて100回以上はできていた。また、空手で突きの練習もしている。それらを考えると別に普通なのではないかと思うし、やっぱり「そんなことはどうでも良い」と思う。

それに、たとえ恵にウエイトの才能が少しはあったとしても、実際に100kg以上を挙げたのは、始めてから7年後ぐらいである。それまで71kg以上のプレートがなかったから。



ウエイトを始めてから7年後ぐらいに新しいトレーニング器具を買い直した。それら数ヶ月後に100kg以上を挙げた。詳しくは覚えていないが半年以内なことは確実である。それ以降は引越して7年間トレーニングをしなかったので。また、器具を買い直す前の一年間はほとんどトレーニングをしていなかったので、70kgが10回挙がるところまで戻す期間も含めて半年以内である。

まあ、でも「100kg挙げるまで何年?」という質問に答えるなら、「7年ぐらい」と答えるしかない。

ちなみに「100kg」ではなく「100kg以上」と書いているのには理由がある。恵は100kgを挙げる前に102.5kgを挙げたからだ。変だと思うだろうと思う。恵もそう思う。恐らくは「100kgの呪縛」に恵も嵌っていたのだろう。

やはりウエイトトレーニングをやっている者たちの1つ目の目標が皆100kgで、大学時代のラクビ―部の友人なども「100kg」という数値をよく口にしていた。また、ウエイトをしていることを知った人間は皆「100kg挙がる?」と訊くのだ。「いや、触ったことない。70kgまでしか」と答えていたが。

恵もそれでいつの間にか100kgを意識するようになっていたのだろう。97.5kgが2回挙がるにもかかわらず100kgがなかなか挙がらなかった。何度か試したが潰れるのだ。

これはやっている方にはおかしいことだとすぐ分かるはずである。重量にもよるが、だいたい2回挙げられれば、その5kg上が1回挙がるからだ。2.5kg増で挙がらないわけはない。でも挙がらなかった。そこで試しに102.5kgをやってみると挙がったのだ。当然その後、100kgが軽々挙がったのは言うまでもない。何でも精神的なものっていうのは大きいんだなあ、と思った。

 

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恵が本格的に高重量を使ってウエイトをやり始めたのは、7年のブランク後、ジムで再開してからだ。腕立て伏せが10回ぐらいしかできない状態からの再出発だったが、マッスルメモリーのお陰で半年ぐらいでベンチプレスは100kg以上挙がるまで戻った。

その頃からベントオーバーローイングやスクワットなどもやり始めた。が、空手を腰痛でやめているぐらいなので、怖くてフルスクワットはほとんどやっていない。重めのものを持ってパーシャル(可動域を狭くした)スクワットでやっている。脚というより脊柱起立筋を鍛えるためだ。このお陰かサプリのお陰か、今はほとんど腰痛が出なくなっている。

ベントオーバーローイングとスクワットで扱う重量は、どちらも十数年前から220kgにとどめている。それで5~8レップスぐらいやる。理由は記録を伸ばしてもしょうがないし、パワーを使う場もないし、フルではなく「適当」だから「記録」とも言い難いし、何よりパワーラックの場所にはプレートは160kg(バー合わせて180kg)までしかなく、それ以上はよそから取って来なければならず面倒くさいのである。220kgなら横のベンチプレスの所の20kgプレートを2枚取ればできるので。




肩も途中で壊しているので、ベンチも長い間パーシャルのみでやっていた。だから今のベンチのマックスは分からない。たいして挙がらないだろう。パーシャルでは190kgぐらいまで使っているが、ストリクトにやるのとは全く違うので「差し引き何キロは挙がるだろう」などとは計算できない。

だいたい今の恵はチーティング(反動などを使う。ずるをする)を多用する。ハンマーカールは45kgのダンベルを両手に一つずつ持って5~8回ずつ振り回す(振り回されてる?)し、ストレートバーのツーハンズカールは75kgを10回ぐらい反動を使って爆発的に挙げる。重い重量を扱うことによって身体に「でかくならなきゃ」と錯覚を起こさせるためだ。ただ危ないのであまりお勧めはしない。

話が脱線気味なので修正する。ただ、何が言いたいのかと言うと、20歳まで177cmで55kgぐらいだった恵でも、たとえチーティングやパーシャルだとは言え、このぐらいの重量は扱えるようになっているということである。そして、今の体重は88kgである。どれだけ食べても太れなかった恵がである。



恵以外にもう1人例を挙げる。

歌手の長渕剛さんのことは、皆さんご存じだと思うが、60歳を過ぎた今もなお見事な身体をされている。だが彼も元々はかなり細い体型、いわゆるガリガリの身体をされていた。恵は彼もハードゲイナーだったのではないかと思っているが、長渕さんはベンチプレスで100kg挙がるようになるまで8年かかったそうだ。恵のような事情ではなく、ずっとジムに通い続けてだ。

ベンチプレスで100kg以上が挙がるようになるまでの期間は、その人の体型や資質にもよるが、早い人で1年、多くが2~3年、遅い人で5年以上という感じなので、長渕さんはかなり時間がかかった方だということが分かると思う。

ここでハードゲイナーの人には、次のことを考えてみてほしい。

たとえば3ヶ月で80kgが挙がった人がいたとする。これはなかなか早い方だと思う。が、もしその人がそこでやめたとしたら、その人のマックスは80kgだ。その人が100kgを挙げるまで8年かかったからといって、今の長渕さんと会って「大したことない」などと言えると思う? 80kgしか挙げたことのない人が100kg以上を挙げている人を笑える?

そして、これはウエイトに限らない。

どの世界にも「天才」と呼ばれる選手はいるが、その方々に聞くとほとんどが「自分は天才ではない。以前、全く勝てなかった、手も足も出ないぐらい凄い選手がいた」と別の人のことを挙げる。

簡単にできると面白くないからなのか理由は分からないが、「真の天才」は、その競技をあまり続けないようで、ほとんどが早くにやめてしまっているようだ。そして、これも同じで、そのやめた人が自分の方が才能があったからといって、世界王者や五輪金メダリストの方をバカにできるだろうか?

「継続は力なり」

恵はハードゲイナーの方には、そのことを忘れずに地道に頑張って頂きたいと思う。才能があろうとなかろうと、結局のところ、続けることが大事なのだ。1年で100kgが挙がろうと、やめれば挙がらなくなるし身体も緩んでくる。5年かかっても、続けていればそのパワーも身体もキープできるのだから。

笑いたい奴には笑わせておけば良いのだ。「語学が堪能な人々」でも書いたように、大概はそれもコンプレックスからきているのだと思うから。ある程度のレベルにまで到達した人たちは、なかなか結果が伴わないのにそれでもなお懸命に頑張っている人間を笑うことなどあり得ないから。

 

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