卒業

中学の時テレビで観た映画の中で、最も印象に残っているのがこの「卒業」である。以前、「TOTO」でサイモンとガーファンクルが好きなことを書いたが、それもこの映画がきっかけになっている。

 


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それと並んで強く印象に残っているが「フレンズ」だ。2作品ともロマンチックで衝撃的なクライマックスシーンを持つが、こちらは自分と同年代の男女の話なだけにより一層驚いた記憶がある。

 


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恵は小学生までは漫画ばかり読んでいたのだが、中学からは映画に嵌った。「水曜ロードショー」など、当時はテレビで週3くらいで映画の番組が放送されていたのだが、内容に関わらずそれをほぼ全て見ていた。それでも足らず、夜中に放送しているものまで探して観ていた。それ以来、今までずっと映画好きで、消費量も半端ないほうだと思う。

 

 

高校生になってからは小説をよく読むようになっていたが、同時に映画も頻繁に映画館まで観に行くようになった。それも全て、中学の時にテレビで観た作品群が素晴らしかったためだ。ただ、映画館の場合、ハズレた時は悲惨だ。恵が当時住んでいたところからだと往復2時間はかかり、尚且つ、費用も掛かるからだ。

大学の頃になると、レンタルビデオが発達してきて、恵はそれ以来ほとんど映画館に行かなくなった。映画館での一本の料金と交通費を足すと、ビデオなら何本も借りられるし、映画館のように放映時期が決まっているわけではなく、過去の作品ならいつでも何でもあり、観たい時に観たいものを観られる。嬉しすぎて、睡眠を削って毎日2~3本ずつ観ていた時期もあった。

 

父ちゃん、ホラーはやめてや。音だけで怖いから。。。

 

出無精だということもあるが、恵はどちらかというと元々映画は一人で観たい。集中できるからだ。映画館では時々全く何を観ていたのか分からない時があった。感動作などの場合は、横の(知らない)女の子が鼻をすすっているのが気になって入り込めなかったりする。もっと酷いのは、子供も観るような映画の場合で、母親が「ほら、アレ、次絶対こうなるで」「ほら、やっぱりなった! ハハッ!」というのを延々最後まで、そばで言われ続けたことがある。恐らく、その映画の良さの2~3割程度しか感じられなかったと思う。何度も注意しようかとも思ったが、言うと最悪の場合その2~3割も吹っ飛ぶ。恵とその親子3人ともが0になる可能性が高かったので我慢した。

家で一人で見ていればこんな悲しいことは起こらず、またレンタルビデオや録画した物の場合は、来客があったりしても一時停止できる。恵の性質上、映画館に行かなくなるのは道理だった。

 

 

現在は専らWOWOWである。今の賃貸マンションに入居したと同時に契約したので、もう18年近くになるが、これは恵には最も便利でリーズナブルだ。新作でも、最近では劇場放映から半年後ぐらいには放送されるし、周りの話題についていきたいとかいう理由がない恵にはそれは何の問題もない。この生活が長いので、逆に話題になっていた映画を毎週のように観られるという感じか。



そして、先に挙げたように、映画館まで観に行った場合、ハズレた時は悲惨だ。いくら話題作だとは言え自分に合わない作品もある。恵は高校の時、それを何度も経験している。そういう点でもWOWOWは最高だ。劇場公開された作品はまず全て放送されるし、面白そうなものは全部録画しておいて、暇な時に途中までざっと早回しで流し、合いそうにないと思ったらそのまま消去する。

だいたい何度も再放送があるので、気にかかったらもう一度録画して観れば良いだけだ。こういうことはレンタルビデオ時代でも、もったいなくてできなかったことだ。

欠点もないことはない。それは映画の見方が雑になることだ。「ハリウッド映画は初めの30分観て合わなければ、それは観る必要のない映画、合わない映画」と言われているが、必ずしもそうではなく、「ダルいなあ」と思って見ていても、最後まで観たらそれを完全に覆され感動する、という場合も結構経験したことがあるからだ。

まあ、確かにアメリカ映画よりはそれ以外の国、例えばフランス映画などに多いことではあるが。。。


 

もう一つ欠点がある。それは「見過ぎてあまり覚えていない」こと。恵はひどい時は同じ作品を三回観たことがある。観たくて観たのではない。覚えていなくて観てしまったのだ。

初めから「何か観たことあるような」とは思うのだが、先が分からないからそのまま観ていると、だいたいクライマックスに入った途端、「あっ、これ観た」と思い出す。加えて悲しいことに、そのタイミングで結末を思い出すのだ。どうせなら、最期まで思い出さなければ良いのに。。。

同じ理由から、知り合いに「おすすめは?」と訊かれても、何も出て来ないことが多い。観過ぎているためか、「これ」というのが出て来ないのだ。だが、向こうから「この映画はどう?」と訊かれたら、(観たことを覚えている作品の場合)「ああ、それは……」と感想を言うことはできる。

当然、これらは全て「恵にとってだけの欠点」である。いくら観ても定額だからと雑に観る必要もなければ、それほど量をこなす必要もない。映画館の場合と同じように一本一本を大事に、途中でやめずに最後まで観る、という風にすれば、これらの問題は解消されて何一つ欠点はなくなるわけだ。

 

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恵も最近そう思うようになり、以前よりは量をこなさなくなった。観た時は面白かったはずなのに完全に忘れてしまっていて、中学生の頃のものの方が覚えているようでは、何かその名作群に申し訳ないような気がしてきたからだ。

これからは中学時代の、あの週3・4回の至福の時を思い出して、もう少し大事にしっかりと映画を楽しみたいと思っている。

 

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