ロシアW杯が終わった

ロシアW杯はフランスの2度目の優勝で終わった。クロアチアもよく頑張った。不運とも言えるオウンゴールとエリア内のハンドによるPKがなければ……などと言っても仕方がないし、それらもフランスの猛攻によって起こったものだ。やはりフランスが一番「強かった」と言うべきだろう。

 

 

今大会で恵が一番安定感が高く勢いを感じたのはフランスだった。次いで勢いがあったのはベルギー・ウルグアイ。ただ、ウルグアイは肝心のフランス戦でカバーニを欠いたのが痛かった。フランス相手にスアレスだけではどうしようもない。

ベルギーはグループリーグ最終戦で、相手側の勝敗以外の駆け引き(トーナメントに向けての選手温存など)があったとはいえ、9人入れ替えてもイングランドを倒すほどの層の厚さを見せたが、日本戦での2失点でどこか脆さも感じさせ始めていた。

 

父ちゃん、よう夜中に騒いでたな。
アタシにはいつも怒るくせに。。。

 

そして、日本についてだが、、、これに関しては今はまだ皆様々な想いを持っていることだと思う。恵もそうだ。ただ、まず言えることは「よく頑張った」ということ。恵からすれば期待以上だった。

確かに、ベルギー戦で「勝ちを逃して」いなければ、、、とは思う。あの試合が勝てた可能性の高い試合だったとは恵も思う。が、実際にはどうかわからないし、「実際に」負けたのだ。

延長寸前、ラスト1分のコーナーキックで点を取りに行ったのは良かったと思う。が、センターバックまで全員で上がる場面ではなかったように思う。点を取れればその場で勝ちが決まるが、取られればその場で負ける場面だ。少なくとも1人は自陣に残すべきだった。相手のカウンターが恐ろしく早いことは分かっていたのだから。

「そんなことを言ってたら点は取れない」と言われる方がいらっしゃるかもしれない。確かにそうだが、恵なら「一瞬で敗退」の危険だけは避けてセンターバック1人を自陣に、ボランチ1人を中央付近に残し、延長でも良いという考えで、ショートコーナーで乾に狙わせるなり、とりあえず放り込んでディフェンダーが弾いた球を蹴り込むなどを選択しただろう。それでも取れる時は取れるし、190cmを超えない日本のセンターバック2人を入れたからと言って、点を取れるとは限らないからだ。

まあ、しかし、、、他の強豪国を見ても、そういう所謂「ミス」は多々あることだ。「あれさえなければ」とは思うが、それでも些細なことだとも思う。言い換えれば大きな大会では「しょうがないこと」だ。みんなそれなりに血が上っていたりテンパっていたり舞い上がっていたり、皆その時々で様々な状態だろうから。




恵は今大会を観て、西野監督を高く評価したいと思った。グループリーグ最終戦の判断は賛否両論で、恵も正しい判断だったかどうかは答えられないところだが、それでもあの一件込で高く評価したい。なぜなら、ほとんどの監督にあの采配はできないからだ。

その理由は正しい正しくないという問題ではなく、「保身」のためにできないと思うのだ。あれでセネガルが1点追加していたら、西野監督はどれだけ自国民からの非難を受けたことだろう。自信を持って言えることはオシム以外の以前の外人監督たちでは絶対できないことだろうと思う。

試合後に「何が起こったか分からない」とか「相手の方が強いのは分かっていた」などと抜かす以前の外人監督が、「私なら2-0の場面から逆転されたりはしなかった」などとほざいていたが、恵は「それはそうかもしれない。が、おまえならベルギー相手に2-0に持っていけてないだろうし、それ以前にコロンビアを撃破したりしてグループリーグを突破できていないだろう」と言いたい。まず、ベスト8を勝ち取るための「選手温存」をあそこまでできなかっただろうし、そのための「あの采配」もできなかっただろう。




海外メディアの反応も賛否両論だった。中には「日本代表はサムライではなかった」と書いたところもあったが、恵はあの時、西野監督にサムライを感じ、「日本人」を感じた。また罵声を浴びながらもその指示に従い、ベルギー戦で一致団結して爆発した日本代表選手たちにも同じものを感じた。

「全体のための自己犠牲」

アメリカナイズされた今の日本では、下手をすれば「悪いこと」のように言われる事柄だが、日本の美徳や長所の多くはこの精神から生まれていると恵は思っている。それを日本全体が世界全体が注目しているあの場面で実行できる指揮官が果たしてどれだけいることだろう。

もう一度言う。あの采配自体が正しいかどうかは分からない。が、それでも「自分」より「チーム」を「日本」を優先した西野監督は称賛に価すると恵は思う。恵なら恐らく保身のためにできないだろうと思うから。

 

 

但し、それでも大会前に「中島翔哉に期待していたのに……」で書いた「人選」に関することだけは意見が変わらない。恵は西野監督だからこそベスト16まで行ったし、優勝国であるフランス以外には負けなしで結果3位のベルギーをあそこまで追い詰めたとは思うのだが、「人選さえ間違っていなかったら、もっと上に」という想いはいまだに強い。

連れて行った選手たちの使い方は全て正しかったと思う。ただ、「使わなかった・使えなかった選手たち」は、恵からすれば元々「要らない選手たち」だったからだ。もし、中島や井手口、浅野を連れて行っていたら、ポーランド戦の展開もまた違ったものになった気がするし、そうなれば「あの采配」はせずに済んだ。

「岡﨑は必要な選手」と以前書いたが、それは「壊れていなければ」という当たり前の条件が付く。急に壊れたのか元々怪我の不安を抱えていたのかが分からないが、もし後者なら連れて行くべきではなかった。他にも良い選手がいるのだから。

岡﨑のことは置いといても、ポーランド戦だけで使った「ある選手」のことを、恵はあまり高く評価していない。10代から天才と言われ早くから海外にいた選手だが、恵はずっと前からW杯では期待できないと思っていた。うまさだけでどうこうしようとする選手だからだ。そして、ダメなら「ああ、アカンか…」という感じ。そういう選手は大舞台で必死で防ごうとする相手のディフェンスを突破することなどできない。「アカンか、やないねん! 無理にでも取りに行け!」と言いたい。

分かって頂けますか?

恵は元ドイツ代表のクローゼが好きだった。今いるクロースではなくクローゼだ。彼はエリア内で引っ掛けられて、倒れながらでも這いながらでもたたらを踏みながらでも身体のどの部分ででも点を取ろうとする。そういう「気合」がW杯通算最多得点に繋がっていると思う。

それとは逆にメッシやクリロナと並び称されるブラジルのエースはよくコケる。本当によくコケる。恵は彼が10代の頃からあまり高く評していない。先の日本の選手と同じく。タイプが似ているからだ。確か年も同じだが。うまいが「根性」が感じられない。だから、ベルギーに勝ってさえいたら、ブラジルも撃破できた確率は高いと思っている。

確かにブラジルの選手たちはうまい。尋常でないくらいうまい。が、前回の地元開催でもそうだったが、それでもW杯では勝ちあがれない。恵はあの「気合のないエース」を中心に試合を組んでいる限りブラジルの優勝はないと思っている。もしくは「あのエース」が香川のように化けない限り。




西野監督に戻るが、あの恵の認めていない選手の代わりに中島を、そして、結局一度も使わなかったボランチ候補2人の代わりに井手口を連れて行っていたら、と思う。中島・井手口・浅野でなくても、「使えない選手」を連れて行くぐらいなら他に選手がいただろうとも思う。

「使えない選手」と言っている意味は「今大会で」という意味で、2人ともダメな選手だとは思わない。「今連れて行っても使う気にはなれないだろう」と思っていただけだ。後、センターバック候補の1人も同じく。3人とも「まだ青い」感じがある。「線が細い」と言っても良い。とにかく、あの場面で長谷部や柴崎に、麻也や昌子に変えて使う気にはならないだろうと思ったのだ。

「後学のために」「次の大会のために」連れて行ったなどということはできないだろう。多くの候補者を切って連れて行っているのだ。使える選手以外選ぶ意味はない。それに、その使わなかった選手たちより中島・浅野・井手口の方が若いし。

ベルギー戦で2-0から延長ではなく、無理に点を取りにいった理由も「人がいないから」ということも関係していたのだろうと思う。今大会から延長になるともう1人交代できるようになったが、ベルギーはいくらでも交代できる有力選手がいるのに対して、日本には「戦力を落とさず」戦える交代要員がいなかったからだ。通常、交代は「戦力を上げる」ためにするものだが。。。だから、「もしあの場面で中島が出ていたら、マリ戦の時のように」という想いはどうしても消せないのだ。少なくとも「やってみる価値のある交代」になったのでは、と。

まあ、そういうことは毎大会感じることなので、しょうがないとして。



とにかく、今大会の日本代表は日韓W杯以来の感動を与えてくれた。また、今後に大きな期待ができることも示してくれたと思う。本当に、今大会を観ていた多くの日本人が「日本も優勝を目指していいんだ」と感じたと思う。当たり前のようだが、サッカーファンの多くが「それはちょっとおこがましい」と思っていたと思う。が、そんなことはないということが今回はっきりしたと思う。

あくまで今回限定のタラレバ話(妄想)をする。が、「今回」といっているのも、れっきとしたW杯なのだ。だから今後の可能性は感じられると思う。

グループリーグは2位通過のままで良い。ベルギー戦は無理せず延長に持ち込み、中島が得点して勝つ。ブラジル戦はベルギーが勝ったぐらいだから、そのベルギーを倒した日本がブラジルにも勝つ。ベルギーと1-0だったフランスとは接戦になりどちらが勝つとは言えないが、日本が勝ってもおかしくない。後は相性などもある。ここで勝てば、フランスのポカによる失点がなければ4-1で大勝していたクロアチアにはまず日本が勝つ。つまり、日本の優勝は有り得たことになる。



実際にはこうはならなかったことは分かっている。そこまでの「底力」がまだ今の日本にはないからだ。どこかで力尽き、よくてベスト4までだっただろう。だが、もし次の大会までに日本がその底力を身に付けたらどうだろう?

現在、次回はカタールで冬開催ということになっているが、「いろんな意味で」劣悪な環境下の試合になることの多い中東での開催というのは気がかりではあるが、そこはどうこうできる問題ではないので、何とかカタールと同じグループ、いや、同じトップ・ボトムハーフには入らないことを祈るしかない。恵は過去に、開催国がいる側のハーフの国々がとんでもない扱いを受け続けたのを見たことがあるからだ。

スポーツで審判が相手チームを贔屓しても勝てるのは、よっぽど実力差がある時だけだ。そういう状況下では、日本の優勝はとてもまだ期待できない。

何とか良いコンディションで公正な試合が行われることを祈る。

まずは、監督選びからやなァ……。西野監督、続投してほしかったのに。。。

 

 

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