楽器やダンスはリズム感が命、って当たり前か。。。

だから、アタシはバースデイは苦手だって。
怒鳴ってるみたいで怖いから、眠れないし。。。

 

何が悲しいって、「素材は良いのにダメ」というのが一番悲しい。たとえば、「声は最高で技術もあるのに歌えていない」とか「身体は動くしスタイル抜群なのに踊れていない」という場合。

歌については既に「音楽チャンプはなぜ終わる?」や「『君はロックを聴かない』がたまらん(あいみょん再び)」などに書いたし、ダンスについても「魂」「情念」の部分に関しては「『ガラスを割れ!』は良い(平手最高!)」に書いたのでここでは割愛する。今回はダンスや楽器での「リズム感」についてである。

 

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偉そうに言っているが、恵はダンスは踊れない。踊れないのだが観るのは好きだし、とにかく音に合わせて揺れているのは非常に楽しく感じる。そして、これはどちらかというと今の若者に対してというより、20代後半以上の人間に思っていることである。

学校の授業でダンスが取り入れられるようになったことと、世代の音楽にリズミックなものが多いことが関係しているのだと思うが、今の十代の多くには、ある程度のリズム感が身に付いているように感じられる。

手前みそな話になってしまうが、「TOTO」で書いたように恵の息子はミュージシャンを目指している。そのため、大学には進学せず専門学校に通っているのだが、それを許可した理由となるファクターが2つある。それは「運指の壁」と「リズム感」である。

運指の壁というのは、才能があまりない人間がどれだけ努力してもなかなか破れない指を動かす速度の壁のことで、息子はこれを努力なしに弾き始めて1年以内に自然と越えていた。

いわゆる「速弾き」の練習をしていたわけでもない。その頃はまだスケール練習というものどころかコードすら1つも知らず、ただ気に入った曲を耳コピやyoutubeを見て弾いていただけなのだ。それだけで恵なら一生練習しても弾けなそうな曲を中学の時、既に何曲も弾いていた。




ただ、どちらかというと運指の壁よりリズム感の方が、恵自らが彼が音楽に進むことを後押しした理由としては強い。指がそれほど動かなくてもギタリストとしてやっていくことは可能だが、リズム感がないとライブができないからだ。

このリズム感。誰でも持っているようでそうでもない。息子は高校の時しばらくの間軽音部に所属していたので、恵も学内学外の高校生ライブをいつも観に行っていたのだが、その中でリズム感を持っている生徒は意外に少なかった。

事実、プロのバンドでもリズム感のない演奏者は結構多く、その場合、CD録音は編集で何とかなっても、ライブとなると「乗れない」音楽になってしまうのだ。これはフェス参加経験がある人の場合、感じたことがある人も多いのではないかと思う。CDは良いのに、何かライブでは乗れないなあ、というのを。

フェスには多くのバンドが登場するが、その中で何組かはそれに該当するバンドだったりするのだ。理由は、演奏者自身が「乗ってない」からだと思う。本当にリズム感がないか、それとも「この速度でこれをやる」となってしまっているからだと思う。

これはダンスでも同様で、スタイルが良く技術があっても、何か見てて「嬉しくない」ダンスは、その人物自身が乗ってない、踊っていないからだ。やはり真面目に、「ここではこの速度でこんなことをする」と思って「やっている」からだと思う。だから、こっちも乗れないし心が躍らないわけである。

恵はダンスでもギターでも、「まず音楽に乗る」ことが大事だと思っている。これは聴き比べ見比べすれば同意してもらえるのではないかと思うが、恵は、乗らないダンサーの踊りを見るぐらいなら、リズムに乗っている酔っぱらいのダンスの方が遥かに面白いと思うし、リズム感のない高等テクニック・ギターソロを聴くぐらいなら、こちらもリズムに乗っている酔っぱらいの数音を行ったり来たりしているだけのアドリブを聴いている方が遥かに良い。

 

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恵は真面目過ぎる人ほど、この「やってる感」の強いダンスや演奏に気を付けてもらいたいと思う。本当にリズム感がないのなら仕方がない。が、必死に正確にやろうとするあまり、リズムに乗らずに「ここではこの速度でこんな感じで」という表現方法になってしまっているように見える人も多いので。

つまり、冒頭に書いた理由により、今の若者の多くは前世代と比べて「音を楽しむ」ことをよく知っているというか、もう既に「楽しみ慣れている」という感じなのだろう。

真面目なのは良いが、やはり表現者が楽しまないと観ている者も楽しめない。それも「やるべきことをちゃんとできた」というような楽しみ方ではなく、踊ること、演奏すること、リズムに乗ること自体を楽しむべきだと思う。それでこそ、観ている者、聴いている者がリアルタイムで「乗って」楽しいので。

実際、これも皆さん経験がおありなのではと思うが、テレビやラジオではそれほど良いと思わなかったのに、ライブに行くとすごく良いと思ったバンドも結構ある。この一番の理由は「ノリ」なのだ。




恵は今でもライブに行くが、一番よく行くのがThe Birthdayのライブである。彼らは多くの良い曲を持っているため、よくある一曲待ちのライブではないことも理由の1つではあるが、何より「ノリ」が良いからなのだ。

彼らはいわゆるガレージロック系で、ロックンロールやロカビリーベースの楽曲が多く、50歳(チバ・フジケン)になる今も、その道のトップを独走し続けている。ジャパンロックフェスティバルなど、毎年どこかのフェスにも出演し、リズム感のある若者たちを乗せ続けているのだ。これができるのは、彼らが常に「楽しんでいる」からだと恵は思う。

彼らのアルバムは常に「捨て曲なし」と言われるが、実際にはアルバムを聴いた時点では、恵には何曲か「ん?」と思う曲がある。が、そのアルバムのライブに行った時に、「なるほど」と理解できるのだ。それらの曲はライブに特化したものだったりするからだ。

CDでもライブでも良い曲を中心に、独りでじっくり聴くのに向く曲とライブに良い曲などもあるわけだ。特にライブに行った後は独りで聴いていても、ライブに特化した曲までその時のイメージが再現されて以前とは違う印象を受ける。結局のところ、恵の判定でも彼らのアルバムは捨て曲なしとなるのである。

バースデイについて知らない人は、まず「涙がこぼれそう」辺りから読んでみてほしいと思う。

 

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