「犬のために家を買う」で書いた予定通り、恵と嫁は怖がりな引きこもり犬・アンのために引越し日の前日に新居に移った。見知らぬ他人何人もが、タンスなどを運び出す時に同時にアンを移動させるのは至難の業だと思ったからである。
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上記のページで書いたように、バリケンネルを1ヶ月前からリビングに置いて慣れさせてはいたが、やはり入ることはなく、当日、難儀して押し込んだ。
まず、恵の部屋にトラップを仕掛けた。ドアのすぐそばに扉を開いたバリケンを配置し、後ろを段ボールで囲ってドアを閉めておく。次に、廊下の後方に段ボールをいくつか置いておき、テニスラケットとタービー(手動掃除機)も隠しておく。
そして、嫁がアンの一番嫌いな掃除機を持ち、「パパとこ行って」というとアンはいつものように恵の部屋に逃げ込もうとする。そこでドアを開くとバリケンに入るしかない状況になっていて、戻ろうとしても恵が既に段ボールで逃げ場を防いでいるし、2番目に嫌いなタービーで追い立てられる。
そして、アンが身動きできなくなったところを怪我をさせないように恵がテニスラケットのガット部分でお尻を押して入れる。。。そういう手筈だった。
が、そうはうまく行かなかった。いつもは逃げ惑う掃除機音を聞いてもタービーで追い立てられても、アンは頑としてバリケンに入ろうとはしなかった。
やっぱり、こいつ、虐待された過去があるのか?
アンは推定4ヶ月の時に保護施設からもらい受けた犬である。推定年齢であるのは誕生日が分からないためだ。
彼女はうちに来た時から箱が大嫌いである。大きな段ボールはもとより、宅配便の小箱でも怖がって吠える。だから大きなバリケンになど入るわけもない。かといって、ロープも大嫌いだからリードも付けられない。あまりに恐くなると、恵たちに対してでさえ噛むからだ。
また、何とかリードを付けたとしても、マンションの2階から車まで歩くわけはなく、抱っこして運ぼうにも推定30kg(秤にも乗れない)の彼女が暴れたら、恵でも怪我をさせないように抱え続けることは不可能だろう。だいたい、アンは抱っこどころかハグさえさせてくれないのである。
いつもお尻を恵や嫁に付けて寝るくせに。。。
それで上記の方法を考え出したのだが、結果はラケットでお尻を押してもバリケンの前で静かに踏ん張り続けるだけだった。
ただ、それまでの数日間の引っ越し準備により、いくらかは状況を理解していたのか、それともあまりの怖さのためか吠えたり噛んだりすることはなかったため、嫁が直接手でアンのお尻を押し始めた。恵がそうすることをためらっていたからだ。
アカンな、俺は。。。
怪我をさせそうで怖いのだ。無理に押すと、足の指などを骨折させないか心配なのである。
ただ、結果的にはそれで正解だった。嫁の精一杯の力とアンが後ずさりする力がほぼ互角だったため、怪我の心配がなくて済んだ。だから、恵はアンが首を振った時に壁に鼻などがぶつからないようにケアしながら、片手でアンのお尻を軽く押すことにした。
そうすることにより、拮抗していた力に差が生じ始めた。
アンがじりじりと前に進み始める。バリケンのすぐ手前まで来た。嫁がアンに覆い被さるような体勢で腋を持って中に入れようとする。バリケンの縁に手を掛けてアンが抵抗する。恵が軽くお尻を押す(手抜きっぽくて申し訳ない、、、)。
前足を持ってバリケン内に入れた時点で勝負あり。後は嫁が身体ごとアンを中に押し込もうとする。最後の抵抗で、アンが嫁の身体とバリケンの間にできた隙間から逃げ出そうと振り向いたところを恵が覆い被さって防いだ(おいしいトコ取りで本当に申し訳ない、、、)。
今回使用したバリケンはこれ。
扉は両開きで取ることもできる。
少しでもアンがバリケンの中にいる時間を短くするため、全ての用意を既に済ませていたため、すぐさま二人でバリケンを持って家を出た。エレベーターを使ってマンション前まで運ぶ。
非力な嫁には非常に大変な作業だった。恵1人で持つことは可能だったが、長さ90cm幅60cmあるバリケンを1人で持つと揺らさないで歩くことができない。持ち手が上部に2つあったため、1人の場合、身体の前で持つしかなく、そうなると歩くたびに恵の足がバリケンに当たるからだ。一度試したが非常に歩き辛い。
後部にコマが付いていたので、前の持ち手を持って旅行バッグのようにゴロゴロ引きずるという手もあったが、それだと傾くので余計にアンが怖がると思ってやめた。
ホンダ・フィットの後部座席を倒しておいて、何とか二人でバリケンを入れた。嫁はそのままバリケンと共に入ってアンを見ていた。
車で10分の距離だったが、到着してバリケンから出たアンの心拍は異常に高かった。そらそうだろう、外に出たのも車に乗ったのも、うちに来た時以来、約4年ぶりのことだったからだ。
家を出ないアンにとって、物心ついた頃からの「世界」だったマンションの1室から見たこともない一軒家に移るのだから拠り所がないとダメだと思い、アンが噛み破いたシート(アンのベッド)やクッションマットは新調せずに持ってきていた。それらはアンが家に慣れてから買い替えようと思う。
で、転居してから1週間が経ち、アンは既に新居に慣れ始めている。
転居後しばらくの間は恵と嫁のどちらかが必ず家にいられるように設定していた。休みをそのように手配していたのだ。それでも着いたばかりの頃は、恵がトイレに立っただけで戻ってくるとブルブル身体を震わせていた。見知らぬ場所に置いて行かれると思ったのだろうか。
今月に入ってからは二人とも出かけるようになったが、春休みで家にいた息子に聞くと、「ごく普通に眠っていた」そうだ。それならもう大丈夫だ。恵たちが出かけるのをすごく嫌うことは元からだし。
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これからは少しずつ外界に慣れさせていきたいと思う。通常、生後4ヶ月ぐらいまでに慣れさせないとダメだそうだが、その間は施設にいたから無理だった。そして、来てすぐ慣れさせようとして失敗したことは引きこもり犬・アンに書いた通りである。
だから、少し難しいとは思うが、推定4歳の今からでも徐々に外を楽しめるようにしていきたいと思う。そのために家を買ったのだし。
不可能ではないと思う。アンはとんでもなく怖がりだが、通常恐がることも、より怖いことの後なら感じにくくなるという原理は通用しそうだからだ。バリケンに押し込められて外に出て車で運ばれた怖さと比べたら、恵と一緒に1室にこもって引越し業者の作業音に耐えるのはそれほどでもなかったようで、心拍も思ったほど上がらなかった。
翌日、ケーブルテレビの工事の時などは、隠れていた部屋にまで作業員が入った。急に「屋根裏(1階と2階の間)に入る出入口が押入れにないか?」と訊かれ、見ると、アンがいる部屋にそれがあったためだ。
隣のリビングはまだ段ボールや家具が山積みの状態で、しかも他の作業員がテレビの設定やインターネットの設定をしている。アンをそちらに移すこともできない。仕方なく、そのまま作業員に入ってもらうとアンは反対の壁まで逃げて素っ頓狂な顔をしていたが吠えることもなく、用意していたオシッコシートの上でオシッコをしただけだった。
大きな脚立に半分登ったままという、アンにとってはとんでもなく怖い体勢のまま、その作業員は恵と会話していたが、それでもアンはただそれを見守っていただけだった。
ただ、作業員が外からその部屋の壁際でドリルを使った時だけはダメだった。けたたましい音を聞いた途端、アンは開けっ放しになっていた戸から一目散に逃げ出し、リビングを超えてダイニングまで低空飛行した。後には、例の如く一瞬にして下痢をした痕跡があった。
ほんま、よう一瞬にして下痢できるな。いつも便秘気味やのに。。。
今、アンは午後のやさしい西陽を浴びながら、リビングで眠っている。随分とくつろぐようになったものである。
写真がないのが残念。元々恵はガラケーでほとんど携帯を使わない。だからアンの写真は娘に撮ってもらっていた。だが、娘が1年前に結婚して家を出たため、それ以降はアンをあまり撮らなくなっていた。
時々は嫁に撮ってもらっていたが、嫁は「難しいから嫌」だと言ってあまり撮ってくれない。彼女がシッターを切ろうとすると確かにアンが怒りだすのだ。長く構えすぎるからかもしれない。その点、娘は撮り慣れているためか、素早く何枚も撮ることができた。
ゴールデンウィークになったら娘が婿を連れて泊りに来るので、その時にまた一杯撮ってもらおうと思う。
これは以前の家での写真だが、今、こんな感じで眠っている。
けど、早よ、サンルームに出てくれへんかなァ、、、アンのために50万以上出して付けたのに。。。
まずはサンルームに出られないと、庭に出られるのはもっと先になる。
まあ、まだ庭をどうするか、決めてないけど。。。
やはり、人工芝を敷いて小さいドッグランにするべきか、それとも散策用に草木を残すべきか。ただ、庭石なども多いため、そのままでは走り回るスペースはない。
まあ、まだ家の中も片付いてないから、まずはそれが終わってから考えるとしよう。
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